上越国境 ヨシガ沢山、鍋クウシ山、三岩山、阿能川岳 2010年4月24日
所要時間 5:15 駐車場−−6:02 ヨシガ沢山−−6:44 鍋クウシ山−−7:49 三岩山−−8:06 阿能川岳 8:16−−8:30 三岩山−−9:32 送電線−−9:43 ヨシガ沢山−−10:02 駐車場
ルート図。クリックで拡大 |
金曜日は東京は1日中冷たい雨が降り続き、傘を差して車に荷物を積み込んで出発、関越道を北上していくと雨が上がって群馬北部に入ると星空も見え始めた。路面も乾いておりこちらでは雨は降らなかったようだ。これなら雪の状態はいいかもしれない。先週は水上IC周辺も白かったが今日は雪のかけらもなく、仏岩トンネル周辺もほとんど雪が見えなかった。トンネル東側から登ってもよかったのだが、先週の状況では東側の駐車場は吾妻耶山登山口でもあるためか車が多く、西側の駐車場のほうが静かそうなのでトンネルを抜けた駐車場に車を置いて寝た。まあ、夜間はどっちでも車は来なかったかもしれないが。
仏岩トンネル西側の駐車場。ここから登る人はいないらしい | 道路反対側の斜面に取り付く |
尾根に乗る | 自然林に変貌、まだ笹は薄い |
やっぱり熊棚くらいはある | 1080m峰 |
まずは道路反対側の斜面に取り付く。ここを登ればヨシガ沢山に到達するはずだ。尾根に上がったときに腕時計を忘れたことに気付き車に逆戻り。幸先が悪い。最初は尾根東側が杉植林、西側が自然林だったがやがて全面が自然林となり、地面は低く薄い笹が茂るようになるが障害になるほどではなく適当に歩いていく。この尾根上には目印は見られず利用者はいないようだ。1080m峰で尾根が細くなって主稜線が見えてくる。左手には送電線が平行して走っている。ヨシガ沢山へと続く尾根は笹が消えて潅木中心で薄い踏跡らしき筋が見られたが、人間のものなのかは不明だ。
ヨシガ沢山山頂 | ヨシガ沢山から北に下る踏跡 |
ピークに到着すると広いヨシガ沢山山頂だった。丸い雪田が残っており、それに乗るとよく締まって全く沈まない。新雪もほとんど積もっていなくて、阿能川岳までこの雪が続いてくれれば楽勝だろう。しかし東京であれだけ雨が降ったのに群馬北部でこの状況とは驚きだ。たぶん暖かい雨のときはここでも雨で、冷たい雨のときは降らなかったのだろう。
巡視路合流 | 送電線下から見た吾妻耶山 |
巡視路は高速道路 | 1230m平坦地で巡視路は東に逃げる |
上部鉄塔から見た |
この先は目印多数で明瞭な踏跡が出現、1090m鞍部では左から送電線巡視路が合流、高速道路だ。巡視路は1230m平坦地まで続き、東の尾根に下りていくので稜線を直進するが、ここには汚らしいくらい多数の目印があった。こりゃちょっと多すぎだろう。ここからが今日の本番である。ここに来て地図を紛失したことに気付いた。少なくともヨシガ沢山山頂では地図はあったはずで、そこからここの間で落としたようだ。この先は尾根形状は単純で目印も多そうだし、地図がなくても大丈夫だろうとそのまま進むことにする。問題はヨシガ沢山から先の下りだが、たぶんそこに突入する前に地図を拾えるだろう。無ければ無いでこの視界ならば大丈夫だろう。
ここから巡視路を離れる | 所々雪が残るが笹は薄い |
明瞭な踏跡がある | 稜線東の雪棚を主に歩いた |
落葉樹林に薄い笹の植生で先週の小出俣山と同様だが、こちらは踏跡と表現していいくらいの筋が笹の中に出来上がっており、これが阿能川岳まで続いていたら夏でも登れる程度の道と言えよう。先週の尾根では雪がない場所でも踏跡は見られなかったので、こちらの尾根の方が入山者は格段に多いようだ。三岩岳手前まで踏跡は見られたので本当に阿能川岳まであるかもしれない。雪が出てくるのは標高1300mくらいだと思っていたが、そこまで到達しなくても尾根東側直下は残雪が残っており、薄い笹地帯を登るよりははるかに歩きやすいのでできるだけ残雪を拾って登っていく。本当によく締まった雪で登山靴が全く沈まず、表面はクラストしてアイゼンも不要だった。間違いなく今シーズン最高の雪質だ。
雪棚が続く尾根 | 鍋クウシ山山頂付近。特にピークは無い |
傾斜が緩むとブナ林となって残雪が続くようになり、そんななだらかな尾根の途中にあるのが鍋クウシ山で、GPSが無いと場所を特定するのは不可能だった。面倒なので私も目印を付けなかったが、顕著な高みがないのでみんな気づかず通過してしまうだろう。私も下山では気づかなかった。
標高1370m肩直下の雪庇 | 最初の露岩。左を巻く |
小出俣山。雲行きが怪しい | 崩れそうな雪棚。踏跡は尾根上にある |
標高1370mを越えると尾根が狭まって植生がブナから檜に変貌、これは露岩が出てくる合図で、案の定、露岩が登場。ここは上も歩けそうだったが踏跡に従って左を巻いた。この後は時々露岩が出てくるようになるが、どれも上を越えたり適当に巻けるような地形だった。踏跡や目印もついているのでそれを参考にすれば問題ないだろう。尾根が細い部分もあるが特に危険を感じるような場所はなかった。本当に痩せてルートはここしかないという場所は明瞭な道ができていた。
1480m峰。矮小桧に雪が乗っている | 大きな露岩。行きは西側を、帰りは東を巻いた |
上の露岩を巻いている途中 | 露岩帯が終わるとブナの明るい尾根に変貌 |
1480m峰から見た小出俣山、三岩山 | |
1480m峰から見た上越国境の山々(クリックで拡大) |
1480m峰は痩せた矮小な檜のピークで、残雪期は檜が寝て展望がいい。ここまで来ると小出俣山も近いが今日も雪雲が絡んでおり吹雪の中だろう。ピークの下りも少し露岩が出ているが明瞭な踏跡があり、凍った足元に注意しながら木につかまりながら下った。ここを通過してもまだ多少露岩が出現し、大きな岩を目印に従って左(西)から巻いたが、帰りでは地形に従って左(東)から巻いて下ったがこっちの方が無駄がなかった。目印の通りに歩いても問題無いが、各自の判断で歩きやすいルートを行けばいいようだ。
一連の露岩や痩せ尾根が消えると尾根が広がってブナ林が現れ歩きやすくなる。晴れていれば気持ちいいのだろうが、どんどん雪雲に近づいてきていて風も強まり細かい雪が降り始めた。シャツでも寒くダウンジャケットを着込んだ。徐々に視界が悪くなり遠くの山は見えなくなってきたが数100mの視程はあるので歩くのには支障は無い。
三岩山山頂 | 三岩山から南側の展望 |
三岩山から見た阿能川岳 | 三岩山北峰から見た三岩山山頂 |
三岩山から見た小出俣山(クリックで拡大) |
ピークに到着しGPSの電源をれると三岩山だった。なだからか山頂で見晴らしが良さそうだが既に雪雲の中に入ってしまい、すぐ近くの阿能川岳は見えるが国境稜線は雲の中だった。右側には顕著なピークがあるがこっちの方が高いだろう。前方にも同じくらいの高さのピークがあり、その先には真っ白で広い稜線が続いていた。あ〜あ、これで晴れていればなぁ。
なだらかな尾根を登る | ブナは霧氷で真っ白 |
小出俣山分岐点 | 阿能川岳山頂 |
本日クライマックスの稜線は吹雪き模様で雪庇先端から雪煙が上がり、ブナの枝は霧氷で真っ白だった。新雪の吹き溜まりは稀にあるがほとんどの新雪は風で飛ばされてしまい汚い古い雪が顔を出していた。これが足跡が残らないくらいよく締まって歩きやすい。いつの間にか小出俣山への分岐を見落として奥の山頂へと向かい、尾根先端の阿能川岳山頂に到着した。目印があるが山頂標識は見当たらない。もっとも、吹雪で探す元気も無いが。地形及びGPSで山頂であることは確実なので標識に頼る必要も無い。山頂は風除けが無いので雪庇の下側に座って少々休憩。意外に早くて3時間かからずに到着し、雪質が良くてほとんど疲労を感じなかったが腹は減った。気温は終始-2〜3℃でこの時期の日中としては低いが雪質がいい要因だからしょうがない。先週と同じくガスに覆われて展望を楽しめる状況ではないのが残念だ。
阿能川岳から見た三岩山 | 1480m峰直下ですれ違った老人パーティー。元気だ |
先のピークが1370m肩。3人パーティーが休憩中だった | うっすら新雪が積もり始めていた |
さて、時間は早いが下山開始。どうも天気は回復するどころかだんだん悪化してきたようで視程は低下してきており、小出俣山の姿が見えなくなってしまった。雪も強くなってきたようだが風があるので積もらずに飛ばされてしまう。1480m峰手前で6,7人のおじいちゃんパーティーと遭遇、元気だねぇ。ここまで来れば阿能川岳までたどり着けるだろう。1370m肩では男性3人パーティーが休憩中で、さらに下っていると3人?パーティーが登っていった。このときはパーティーは踏跡を拾って薄い笹の中を歩き、こちらは歩きやすい稜線東の残雪上を下っていたので顔をあわせることができなかった。そして最後の1人は送電鉄塔付近で、70才に近い単独男性だった。今日は偵察程度で途中まで登って引き返すとのこと。この頃になるとこの標高でも雪が降りしきっていたので、上の方は横殴りの吹雪だったかもしれない。
ヨシガ沢山。雪が降っている | 駐車場に戻っても雪がガンガン降っていた |
下山後、下界から見た小出俣山〜阿能川岳。雪雲に覆われている |
ヨシガ沢山から西に入って尾根を下り、最後は正確に駐車場前に出た。駐車場でも雪が降りしきり、早めに下って正解だった。やっぱり今日はショートコースにしてよかった。しかし、まさにこの時、DJFは好天の中、北ア硫黄岳に登頂していたのだった。今回の場所の選択はちとミスったかな。それ以前に登攀能力に関してはDJFと差が開くばかりで、こちらが硫黄尾根に挑戦できる実力を身につけるのはいったい何年後だろうか・・・・。死ぬまでに登れるだろうか・・・・。
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